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地域で必要な分だけのサービス提供。地域密着型通所介護とは

介護が必要になっても長年暮らしていた地域で暮らし続けるためには、地域密着型サービスを有効に利用することが重要になってきます。地域密着型サービスとは限られた地域の人を対象に提供する介護保険サービスの総称です。地域密着型通所介護も、そんな地域密着型サービスのひとつに位置付けられています。それでは地域密着型は通常のデイサービスとどのような点が違うのでしょうか。ここでは地域密着型通所介護を利用する上で必要な基本的な知識について紹介します。

地域密着型通所介護とは小規模デイサービスである?

そもそも地域密着型通所介護とはなんでしょうか。介護保険を長年利用してきた人にとっても、あまり聞きなれない単語ではないでしょうか。
それもそのはず、地域密着型通所介護は2015年の介護保険改正時に新しくできた名称で、それ以前は小規模デイサービスと呼ばれていました(ここでいう小規模とは定員が19名未満のものを指します)。デイサービスを利用する人にとって、利用する先が大規模なのか小規模なのかはあまり問題ではありません。そのためこれまで通っていたデイサービスに通い続けた結果、2015年4月からはいつのまにか地域密着型通所介護に通っていたという人もいるでしょう。

ではなぜそのような変更が加えられたのでしょうか。実は地域密着型サービスと居宅系サービスとでは事業所を管轄する自治体が異なります。地域密着型が市町村であるのに対し、居宅系サービスは都道府県が事業所の指定や認可を行っています。
地域密着型に変更されたことによって、小規模デイサービスの管轄が都道府県から市町村に移りました。これはより地域に近い自治体に権限が移譲されたことを意味します。
この変化によって、市町村が行う地域の介護サービス量のコントロールがしやすくなるだけでなく、判断速度の向上も見込まれます。つまるところ、市町村によるより迅速で適切な介護サービスを期待するための変更だといえるのです。

地域密着型通所介護の具体的なサービス内容

介護保険上のことを述べてきましたが、利用者にとってはどのような変化があるのでしょう。実際のところ地域密着型サービスになったからといって、小規模デイサービスで提供されていたサービス内容が、大きく変わるということはありません。そもそも小規模・大規模という区分自体介護保険制度上のもので、利用者にとって大きな意味があるものではないでしょう。制度上居宅介護サービスが地域密着型サービスに変わっただけで、同じサービス内容を受けることが可能です。

それでは小規模デイサービスで行なわれているサービスとはどのようなものでしょうか。通所系サービスに共通しているのが送迎サービスです。自宅から施設まで車で送迎してくれますから、歩行に不安がある人でも安心して利用することができます。

デイサービスに到着すると行われるのが、看護師による健康管理です。血圧や脈、体温といったバイタル測定を行い、入浴やその後のレクリエーションへの参加が可能か判断されます。その後入浴介助サービスや、必要に応じて食事や排泄介助などの介護サービスが提供されます。

またデイサービスといえばレクリエーションでしょう。大規模デイサービスとの違いとして、小規模ならではのレクリエーションが提供できる点が挙げられます。規模が小さいためにちょっとした旅行も計画しやすく、大規模デイサービスに比べて遠出をする機会が多いかもしれません。

小規模デイサービスは比較的参入しやすい分野であるため、各事業所間での競争が激しいのも特徴です。そのため各事業所が工夫を凝らしたレクリエーションや催し物を実施していますから、自分の好みに合わせたデイサービスを見つけることも可能でしょう。

地域密着型通所介護のサービス利用料金

地域密着型通所介護は1回ごとに料金が生じること、要介護度に応じて料金が変わる点など、通常のデイサービスと同じような料金体系をとっています。

ただし通常のデイサービスに比べると料金はやや高めに設定されており、1回あたりの料金は要介護1で735円、要介護2で868円、要介護3で1,006円、要介護4で1,144円、要介護5で1,281円となっています。
また要支援1~2と認定された人は利用できない点も、通常のデイサービスとは異なる点でしょう。

これに事業所ごとの加算や利用時間の延長料金、それに食費やオムツ代を加えた額が利用料金として請求されます。

地域密着型通所介護の利用条件と利用に適した人とは

地域密着型サービスに位置付けられたことで、これまでともっとも変わった点が利用条件でしょう。まずこれまでなら月額を支払うことで利用できていた要支援1~2の人がサービスそのものを利用できなくなりました。
それに加えて地域密着型サービスに変更されたため、その事業所が所属する地域に住んでいなければ利用することができません。自治体がその必要性を認めれば地域をまたいでの利用も可能ですが、地域密着型通所介護の数は多く、どの地域にも一定数が存在するため、地域をまたいでの利用を許可するケースはあまり多くないでしょう。

では通常のデイサービスではなく、地域密着型を使うメリットが大きいのはどのような人でしょうか。
第一に考えられるのは、その地域で長年暮らしている人です。結婚してから引っ越してきて数十年同じ場所に住んでいる、あるいは生まれてからずっと同じ場所に住んでいる。そのような人たちは地域密着型サービスを利用するのに、もっとも適しているといえるでしょう。

地域で長年暮らしている人が地域のデイサービスを利用することで、体が不自由になっても昔ながらの人間関係を維持できたり、顔見知りの地域住民からサービスを受けたりすることが可能となります。
まさに地域密着型サービスの面目躍如といったところでしょう。

次にメリットが大きいのが、認知症のある人です。
地域密着型サービスの中には認知症対応型通所介護も存在します。もちろんそちらを利用するのもよいですが、昔馴染みの友だちと一緒のデイサービスに通うことで、認知症に思わぬ良い効果が期待できるケースもあります。たとえ認知症になっても、昔からの友だちが支えてくれる環境というのは、何者にも代えがたい喜びではないでしょうか。

最後に大規模デイサービスよりも小規模デイサービスを好む人を挙げておきましょう。大勢でワイワイするのが好きな人がいれば、少人数で集まるのが好きな人がいるのも社会では当たり前のことです。
その当たり前を高齢になっても認めるのが、このような選択肢でしょう。

高齢になったからといって、これまで一人や少ない人数で集まるのが好きだった人が、突然大人数での集会を楽しめるはずがありません。その人のこれまでの行き方を尊重した選択肢として、地域密着型通所介護は大規模デイサービスに対置されるものといえます。

地域密着型通所介護を利用するにあたっての注意事項

地域密着型通所介護を利用する際の注意点をまとめてみましょう。
小規模デイサービスともっとも変わった点は、利用者が限定されたことです。そのために、これまで小規模デイサービスを利用していた要支援1~2の人や、地域外の人がサービスを利用できなくなりました。利用料金も通常のデイサービスに比べるとやや高めに設定されています。

地域密着型通所介護の一番のメリットは、地域に根ざしたサービスの提供にあります。
そのため地域外から無理に使おうとしても、その恩恵はあまり得ることができません。
これまで地域外のサービスを利用していたのであれば、これを機に自分の住んでいる地域のサービスを利用するのもよいでしょう。料金がやや高めに設定されているのも、少数の地域住民に対してきめ細やかなサービスを提供することを前提としているからです。

地域密着型通所介護は、同じ地域にたくさんの事業所が進出しています。そのためどの事業所を選んだらいいのかわからない、なんてこともあるでしょう。そんなときにはまず担当のケアマネージャーに相談して、それぞれの事業所の特徴を聞いてみるといいでしょう。ほとんどの事業所では見学を行っていますから、実際に体験してみるのもオススメです。

地域密着型通所介護の利用に関するQ&A

Q.他の通所サービスと併用することは可能ですか?
A.可能です。例えば月・水・金曜日は地域密着型通所介護に通い、火・木は一般的な大規模デイサービスに通うといったこともできます。デイサービスはそれぞれに特徴や強みが違いますから、うまく使い分けるのもよいでしょう。

Q.地域密着型通所介護を選ぶポイントはどこですか?
A.他の事業所と同様、契約時の対応はよく観察しておきたいものです。約束の時間を守っているか、こちらの質問にきちんと答えてくれるかなど、当たり前のことを当たり前にできる事業所を選びたいものです。また事業を運営している母体にも注目です。今後施設への入所を検討しているのであれば、同じ法人内で施設運営も行っているところのほうが、その後がスムーズにいく可能性は高まります。幸いにして地域密着型通所介護は展開している事業所が数多くありますから、時間をかけて探せば自分にあったサービス提供事業所を見つけることができるでしょう。

Q.地域密着型通所介護というけれど、地域密着といった感じがしないのですが。
A.地域密着型通所介護は2015年4月に設けられた、新しい区分の介護サービスです。これまでは小規模デイサービスとして地域に関係のない運営を行っていましたから、まだまだ地域性を打ち出せていない事業所が多いのも致し方のないことでしょう。介護保険サービス自体が地域への回帰を打ち出していますから、今後数年のうちに地域に根ざしていないサービスは淘汰されていくことが予想されます。そのような段階になれば地域密着の実感が湧くのではないでしょうか。