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継続利用で家族のような存在に。訪問介護とは?

生活のところどころで手伝って欲しいことがある、訪問介護はそんな利用者の気持ちにぴったりのサービスです。自宅で受けられるサービスですから、知らないところに行かなければならない不安感もありません。普段の生活で困っている事柄に対して助けに来てくれるヒーローのような、そんな役割を果たす訪問介護とはどのようなサービスでしょうか。

そもそも訪問介護とは?

自宅で生活をしている高齢者の方に対して必要なサービスを提供することを目標として、訪問介護は生まれました。その目的は可能な限り住み慣れた自宅で、自立した日常生活を送れることです。自立した生活を送るために、現在の困りごとを介護支援専門員(ケアマネージャー)がアセスメント(事象を客観的に評価すること)し、必要な援助を判断した上で、ご本人、ご家族の同意の上でサービスが提供されることになります。
一人では転倒する可能性が高くてお風呂に入ることができない、食事を買いに行きたいけれど脚が痛くてなかなか外出することができない。このような困りごとに対して、適切なサービスを訪問介護員(ホームヘルパー)が行うことによって、その人らしい自立した生活を続けることが可能となります。

ここで少し疑問が湧いてくるかもしれません。「自立した生活といっても誰かの力を借りているではないか」といった疑問です。福祉分野における自立とは、自分一人でなんでもすることではなく、誰かの力を借りながらでも主体的に生きることを指しています。たとえ車椅子に乗っていても、入浴や排泄で誰かの力を借りることになっても、自立した生活を送ることは可能なのです。私たちは生活の中で日々選択をしており、それらの選択が積み重なって私たちのこれまでの人生を形作っています。体が不自由になったとしても、そのような主体的な選択権を失わないで暮らすことができる。それが訪問介護も含め介護保険が目的とする自立した生活なのです。

訪問介護のサービスは具体的にどんなことをしてくれるの?

訪問介護は身体介護と生活援助の2つに分類することが可能です。身体介護とはその名の通り利用者の体に触れるような介護を指します。食事や排泄、入浴といった介助の他にも、更衣のお手伝いや車椅子への移乗、あるいは移動の介助などもこれに該当します。生活援助とは利用者の日常生活を営むのに必要な機能の向上のための介助及び専門的な援助を指します。利用者の身の回りに関すること、と考えてもらえれば差し支えありません。掃除や洗濯、買い物や調理といったいわゆる主婦業がそれにあたります。

訪問介護ではサービスの利用時間が設定されています。
身体介助の所要時間は最小20分未満、一般的には1時間以上1時間半未満です。
生活援助の所要時間は一般的に20分以上45分未満で、最大で45分以上です。
これを上手に組み合わせることによって、必要なときに必要なだけのサービスを利用することができ、自立した生活を送ることが可能となるのです。たとえば、半身麻痺があって自分では更衣と入浴ができない人のケースを考えてみましょう。更衣が必要となるのは朝の起床時と夜の入浴時となります。起床時間が8時であればその時間に20分未満の身体介護サービスを利用して、更衣を手伝ってもらうことが可能です。夕方6~7時に入浴するとなれば、これもまた身体介護サービスを1時間利用して、入浴介助と入浴後の更衣を手伝ってもらいます。これに30分程度の生活援助を組み込んで食事の準備や掃除などをしてもらえば、たとえ片麻痺があり、独居で暮らしているとしても自立した生活が送れることがわかるのではないでしょうか。

ただ、訪問介護サービスにはできることとできないことがあります。できることは上記に挙げたようなサービス内容です。一方、できないこととしては、直接利用者の援助に該当しないサービスや、日常生活の援助の範囲を超えるサービスがそれにあたります。具体的には利用者の家族のために行う掃除や洗濯がそうですし、草むしりや犬の散歩といったことも該当します。もうひとつできないこととして、ケアプランに載せられていないサービスを挙げることができるでしょう。また、同居家族がいる場合は、原則生活援助は利用できません。ただし、同居家族に障害や家事ができない理由がある場合は生活援助が利用できる場合がありますので、地域包括センターやケアマネなどに問い合わせてみてください。訪問介護サービスはケアマネージャー(介護支援専門員)が作成したケアプランに基づいて実施します。ケアプランとはその人の自立した生活のために必要なサービスが明記されており、必要のないサービスについては除かれています。そのため、たとえば入浴介助が必要ない人に対してはケアプラン上に入浴支援は記載されていませんし、訪問介護サービスとして使用することはできないのです。利用者の体の状態が変わり、新たなサービスが必要となったときには、ケアマネージャーと相談して、新しいプランを作成してもらいましょう。

訪問介護サービス利用にはどれくらいのお金がかかるの?

ここで紹介する金額はあくまで目安です。実際に利用する際の料金とは異なることをご理解ください。

サービスの利用料は身体介護と生活援助とで分けられており、その中でさらに時間によって区分されています。身体介護の場合20分未満から始まり、20分以上30分未満、30分以上1時間未満、1時間以上1時間半未満と区分けされており、それぞれ1回あたりの利用料は165円、245円、388円、564円となります。

生活援助の場合は20分以上45分未満と45分以上の2種類のみで
それぞれ183円と225円です。また通院時の乗車・降車等の介助に関する金額も設定されており、こちらは1回につき97円となっています。

なお、事業対象者、要支援、要介護認定された方の負担割合が2割の場合、この倍の負担となります。また、訪問介護サービスの利用料金体系は認定調査の結果によって異なります。地域や事業所によっても加算や1単位の値段の違いなどから料金が変わってきます。

訪問介護は誰が利用できるの?

訪問介護を利用することが可能な人は、前述の通り事業対象者および要支援1~2、もしくは要介護1〜5と認定された人です。その上でさらに、担当の地域包括支援センターの職員およびケアマネージャーにより訪問介護サービスがその人に必要と判断されたときに初めて、ケアプランに位置付けられ利用することが可能になります。生活の各所で困りごとが生じているのであれば、まずは担当ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談してみましょう。食事介助や更衣の介助といった身体介護だけでなく、食事の準備や買い物まで困っていることをピンポイントで解決してくれる訪問介護サービスを組み込んでくれるはずです。利用できない人の代表としては、要介護認定を受けた人の家族が挙げられるでしょう。利用者が家族と同居している場合、家族の部屋を掃除したり洗濯物を干したりしてほしいと思われることも多いようです。しかしながら訪問介護サービスは、あくまで利用者が自立した生活を送るために行うものであることを忘れてはなりません。この点は訪問介護員が家政婦さんと根本的に異なる点といえるでしょう。訪問介護は専門職による自立を目指したサービスの一環であり、介護支援専門員が立案したケアプランという目標をもとに実施されているのです。

利用にあたっての注意事項

ここまですでにいくつか注意事項に触れてきましたが、ここでもう一度確認しておきましょう。
まず訪問介護は対象者が自立した生活を送れることを目的としている点です。そのため対象者の家族への奉仕や自立支援から外れる仕事は、サービスの対象外となります。家族の衣類の洗濯、庭の草むしり、犬の散歩などがそれにあたります。次に利用回数に制限がある点です。事業対象者や要支援1~2の利用者は原則として回数制限があります。要介護1〜5の人は所定の単位数までとなります。要介護1と5とでは単位数に大きな違いがありますから、要介護1の人よりは要介護5の人のほうが多くのサービスを利用することが可能です。(それ以上となりますと10割負担の自費となりますので注意が必要です。)最後に訪問介護サービスは、介護支援専門員のケアプランに基づいて提供されている点です。新しいサービスをしてもらいたくなったら、毎日の訪問に来てくれているヘルパーさんに頼めばいいと思いがちですが、実際はそうではありません。訪問介護員はケアマネージャーが作成したケアプランに基づいたサービスを提供しており、自身の独自の判断でサービス内容を変更することはできないとされています。現在のサービスに不満がある、内容を変更してほしいという場合は担当のケアマネージャーに伝えるようにしましょう。

訪問介護利用に関するQ&A

Q.訪問介護とは別に訪問入浴サービスがあるけれど、訪問介護では入浴介助はしてもらえないの?
A.現在の自宅の浴室の状態によります。身体介護によって自宅の浴槽をまたぐことが可能であったりシャワー浴ができたりするのであれば、訪問介護で入浴介助を受けることは可能です。他に足浴や清拭のサービスもあります。その一方で、座った姿勢をとることが難しい人や、医療的な処置を必要とする人のケースでは訪問介護での入浴介助を受けられないことがあります。そのような場合には訪問入浴サービスを利用して、特殊な浴槽での入浴となるでしょう。
Q.家族に対するサービス提供はできないとのことですが、家族の洗濯物は別々に洗わなければならないの?
A.原則としてはそうなります。ただしそうした家庭の場合では、他に洗濯を行える人がいるケースがほとんどです。そのような場合は洗濯という生活支援をケアプランに組み込んでいること自体が適切ではないとされるでしょう。
Q.今のヘルパーさんに不満があります。訪問介護事業所を変更することはできますか?
A.可能です。その場合は一度担当のケアマネージャー、地域包括支援センターの職員に相談してみましょう。同じ事業所で別の人を指定してもらうか、あるいは別の事業所を探してもらうことができます。